映画『パーフェクトストーム』

人々が自分の成績に失望してトレードをやめるのは、「損切りは早く、利は伸ばせ」という原則を身につけるのが難しすぎるから、と考えるのはごく自然なことだ。また、実際にそのとおりの場合もある。

だが、ここでも理屈は統計によってひっくり返される。「一貫して損は小さく、利は伸ばす」ために必要なスキルを学ぶこと自体は、それほど難しくないのだ。また、他分野で非常に優れている人々が、そこまで失敗率が高いのを正当化できるほど難しくないのも確かだ。問題は、トレードをする人々が等しくスキルを学べないということではない。そうではなく、そもそもスキルを学ぶ必要があるということを、ほとんどの人が気づいていないことが問題なのだ。

ここには私が「トレードのパーフェクトストーム(大嵐)」と呼ぶ、非常に戸惑う心理現象がある。心理が及ぼす力と市場の力が合わさると、必要なスキルや、着実に勝つための最も効果的な方法を理解する妨げと化すのだ。トレードにおけるこの現象を私が「パーフェクトストーム」と呼ぶのは、心理的に見ると、ジョージ・クルーニーとマーク・ウォールバーグが出演した二〇〇〇年のハリウッド映画『パーフェクトストーム』で描写された状況と似た点があるからだ。

両者を比べると、トレードの性質について私が何を言いたいか分かるだろう。私の記憶では、この映画はニューイングランド地方に住み、感情面やお金で苦労する数人の漁師を描いていた。彼らは生活を安定させるのに苦労していた。ほとんどはお金に関してだが、個人的な問題を抱えている人もいた。ジョージ・クルーニーが演じる人物は漁船を所有して、事業を行っていたが、経営は絶望的な状況にあった。

彼と乗組員が次の漁で記録的な大漁を達成できなければ、彼は漁船も事業も失うことになる。彼らは出港すると、いつもの漁場に向かうが、そこでの漁は思わしくない。それで、彼らはもっと魚影が濃い漁場に行くことにする。問題は、そこがかなり遠いため、燃料や予想される気象状況を考えると、かなりの無理をすることだ。乗組員たち全員で話し合った末、危険を冒す価値はあるという話でまとまり、そこに向かう。

一方、新しい漁場の周囲では嵐が二つ発生していて、沿岸警備隊は嵐の接近を警告している。しかし、漁師たちには大きな見返りがあるので、危険な嵐の警告は無視するか軽視する。映画では、その漁場は予想どおりに魚影が濃く、魚が文字どおり船に飛び込んでくる。かつてないほど大量の魚を船に引き上げながら、(トレードと同様に)彼らは舞い上がり、お金の問題はもちろん解決したと思う。だが、そうはいかない。彼らは知らなかったが、二つの嵐は合わさってひとつの巨大な嵐になるからだ。

この大嵐はだれもそれまでに見聞きしたことがない、一〇〇年に一度の本当に巨大な嵐に成長する。映画は彼らがまさに追い求めていた、何十万ドルにも値する魚を得るところで終わる。しかし、彼らはこの猛烈なパーフェクトストームにとらえられたため、家に帰って、努力の末に得た利益を享受することはけっしてない。

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